社史研究への誘い

 

良い社史の基準(その3)

社史・アーカイブ総合研究所 研究員 吉田武志

良い社史の基準(その3)-業界の歴史の中でその会社の経営ストーリーがわかる

 経営数値や歴代役員などの情報を記録するだけなら、表やグラフで構成する資料集だけで十分です。そこに、“読む” 本文が必要なのは、業績数値や年表などの情報だけでは、会社の歴史の意味や意義を理解することができないからです。

 社史におけるストーリーとは、経営環境に対し経営が主体的に行った意思決定を軸に、その実施プロセスから帰結について、時代に沿って、“なぜ” “誰が” “どのように行い” “どうなったか” “そこから何を学んだか” “学んだことをどう活かしたか” というストーリーを客観的かつ具体的に記述していくということです。

 しかし、経営環境により経営意思が変化していく企業の歴史の解釈は一筋縄ではいきません。読者が当該企業の動向の意味や意義を理解できる原稿とするためには、あらかじめ決めつけることなく、資料から逆算して、ストーリーを探っていく必要があります。個別の資料だけでは不明な文脈を、取材や他の裏付け資料を参照することによって解明し、体系づけていくわけです。

 すなわち、社史編纂とは、資料間の脈絡(文脈)=ストーリーの記憶が失われる前に、文章として記録しておく営みでもあるわけです。これは、膨大な資料を背景に有する大企業が一定間隔で社史を編纂する根拠でもあると思われます。

「社史・アーカイブ総研の挑戦」(2019.10出版文化社刊より抜粋)

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