アーカイブの活用

 

皓星社の「ざっさくプラス」

2012年9月1日の日本経済新聞文化欄に、出版社や大学などの、近現代日本の雑誌や学術誌などの定期刊行物を索引データベース化して保存する記事が掲載されました。
この動きは著名な雑誌だけでなく、忘れ去られた雑誌や地方の刊行物、学術論文、業界誌、学会誌などの索引・記事もデータベース化する試みであることが特徴的です。

雑誌記事の索引データでもっともよく知られているのは国立国会図書館オンラインで、約300万件の記事を網羅しています。
しかし、収録データは1948年以降のものがほとんどで、近現代日本の重要な時期、つまり戦前・戦中・戦後直後の時期のデータが少なかったのです。
この空白を埋めるべく、出版社の皓星社は、「ざっさくプラス」というデータベースを提供しています。
これは、日本(旧植民地なども対象)で発行された日本語の雑誌記事や、明治初期から現在までの全国誌から地方誌も対象であることが売りとされています。

近現代日本に関するデータベースでは、雑誌記事索引に至らなくとも資料タイトルをデータベース化し、公開している機関も実は少なくありません。例えば、戦後直後の労働運動に関する情報をまとめている「大原デジタルアーカイブス」や、主にプランゲ文庫をデータベース化し、記事も検索できる「占領期新聞・雑誌情報データベース」などがあります。
また、専門分野別にも存在し、例えば「戦前・戦中・占領期日本語教育資料」なども、少しずつ情報を蓄積して公開する運びになったデータベースです。

近現代に関する資料は確かに歴史的な流れから「少ない」ことは否めませんが、今は個別にそれぞれの関心や活用のためにデータベース化されているサイトが見受けられるようになりました。
ただ、個別に作成されているがゆえに自分からWeb上で検索し、ヒットできたデータベースにアクセスせざるをえないので、網羅できるわけではありません。

データベース化することで人々の活用を増やし、近現代日本の歴史を多角的な視点で捉えるツールの増えることが望まれます。
また、サイト間でデータベースを連携するために、国からの支援を受けてシステム構築やネットワーク化などの問題をクリアすることも必要ではないかと考えます。

 
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