『月刊IM』の2012年6月号に、臼井信昭氏の報告「統計解析を利用した新しい文書管理」が掲載されています。これは、地球統計学的観点での統計解析を利用して効率的な文書管理を目指すというユニークなものです。
一般的に、文書は紙文書を電子化して電子データとしてサーバに保存し、メタデータを付与してキーワードなどで検索する方法が一般的です。
ここでは、メタデータはあくまでも紙文書のガイドとなるものなので、詳細は電子化された文書そのものを参照することになります。この報告で提唱される新しい文書管理システムの特徴は、文書そのものは附属しておらず、価値・メタデータと文書の所在を示すデータのみがシステムにぶら下がっていることです。
価値やメタデータが「正確」に付与されていれば、文書そのものは見なくてもわかるので仕事の効率が上がるという考え方です。
また、価値やメタデータが文書から独立しているので、例えば会社部署の統廃合で以前の文書が追跡できないという変更が生じても、動的に対応することが可能だといいます。
ここでいう「価値」とは、統計解析を利用するために数値化したメタデータという意味です。この「価値」の数値化は人間が決めることなので、かなり労力を費やすでしょう。
しかし、一度数値化してしまえば、資料相互の重要度を絶対的に比較したり、分類したりすることが容易にできる利点があり、より効率的な文書検出が可能です。
本格的に採り入れるためには、地球統計学を学ぶ必要があり難しい面もありますが、未来型の文書管理方法のひとつとして一考の余地があるかもしれません。
文書は時間の経過とともにその持つ意味も文書の作成部署も変化します。
電子文書に頼らない文書管理という考え方そのものが、文書管理のあり方に、新しいヒントを提示するものと言えるでしょう。
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