アーカイブ関連ビジネスのなかでは、アーカイブの保存や管理をめぐる問題が常に中心にあって、資料の物理的劣化にどのように抗っていくか、 また、資料を電子化してデータベースに格納しましょう、といった話が中心になりがちです。
しかし、どんなに大切に文書を保管し、優れたデータベースに格納したとしても、その資料に記されている内容が理解できなくては、意味がありません。
戦後に書かれたものであれば、多少の読みにくさはあっても、たいていの文書は誰にでも読めますが、戦前の文書には旧仮名遣いや旧漢字が使われており、 手書きのものであれば草書体(崩し字)で書かれているのが普通ですから、一定のトレーニングを積まないと、文字を読んで理解することはできません。
トレーニングは文字についてだけでなく、文語や候文などの古い言い回しや、今は使われない用語、書式などについても学ばなくてはなりません。
弊社の扱う資料のなかにも、そういった知識が必要なものもあります。こういう時は、史学科出身者の出番です。大学の史学科では、 多くの場合古文書読解のトレーニングの場があり、程度の差はありますが、卒業時には「ある程度読める」ようになっているのが普通です。
昨今の「実学」ばやりの大学では、史学や文学、哲学などの人文科学系は不人気で、「役に立たない」などと揶揄されますが、 最先端のアーカイブズ学同様、旧来からの古文書学の蓄積や読解のノウハウを継承する「担い手」がいなければ、せっかく保存してきた資料も、宝の持ち腐れ、ということになってしまいます。
幸い、最近では地方の公文書館などが、公開講座やインターネットで学べる古文書講座など、多数開催していますので、 いちど奥の深い古文書の世界をのぞいていただき、多くの人に「担い手」の一人になっていただきたいと思います。
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