アーカイブの考察

 

旧東ドイツのシュタージュ文書

2012年9月イギリスのBBCラジオ放送が、旧東ドイツのシュタージュ(秘密警察)文書の復元について報道しました。
それに関する大変興味深い記事をご紹介いたします。

ベルリンの壁崩壊後、旧ドイツのシュタージュ職員は、シュタージュの活動の証拠となる記録を抹消・隠滅するために、大量の文書をシュレッダーにかける、もしくは手で破るという作業を数週間にわたり行いました。
恐らく、後から焼却もしくは溶解処理をする予定だったと考えられます。

これらの、細かく刻まれたおびただしい数の紙片は袋にいれられたまま、現在の連邦政府により保管され、修復・復元作業が続けられてきました。
しかし、「世界最大のジグソーパズル」のピースを、人力によってつなぎあわせる現在の復旧作業方法では、完成までに何世紀もかかると予想されたため、「E-Puzzler」と呼ばれる専用機を含む一連のシステムを導入したのです。
複雑な数式によるプログラムが、何百万の紙きれの中から形や文字情報を照合させ、つなぎあわせる作業を瞬時に行います。他にも、シュタージュが残した、数々の盗聴記録などの音源のデジタル化や解読も同時に行い、隠されていた史実が少しづつ明らかにされています。

膨大な費用と時間をかけて修復する必要があるのかという声も国民の間から出ているかもしれませんが、ドイツ政府は、過去の暗い統治(政治)の実態を明らかにすることは国として当然の義務であるという見解を持っています。
国民は、ここに含まれる情報の中に、旧東ドイツ時代に起きた出来事を理解し乗り越えるための希望の一片が見出せると考えています。

公文書は、国と国民のアイデンティティを証明する大切な記録で、国は国政を国民に説明する義務があり、国民はそれを知る権利があります。
それ故に、公文書は正しく管理・公開されるべきであり、それができるかどうかが民主主義国家であるか否かの分岐点と言えると思います。
この命題は日本にも突き付けられており、ドイツに学ぶことは多いのではないでしょうか。

社史・アーカイブ総合研究所

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