アーカイブの活用

 

プロセス・イノベーションとプロダクト・イノベーション

今回は知的財産権について述べたいと思います。

プロセス・イノベーションとプロダクト・イノベーションの二つの概念があります。
日本の製造業は、従来、工程(プロセス)管理の改善、いわゆるプロセス・イノベーションで競争力を誇ってきましたが、今後は、高付加価値のオリジナル製品を生み出す、いわゆるプロダクト・イノベーションの時代に突入していくと言われます。

ゼロから基礎研究を行うよりも、過去の技術を組み合わせて新しい商品開発を行い、付加価値の高い創造的な製品開発に力を注いだ方が得策、と企業は判断して いるのです。休眠特許や大学の研究成果を特許化するなど、埋もれた技術の発掘と再利用が注目されています。2004年からは、長らく不備が指摘されていた 信託業法が改正され、特許権などの知財権の信託業務が許可されました。さらに、2005年には、知的財産高等裁判所が設置され、知財の重要さがますます高まっています。

休眠特許を使って「美肌ゼリー」を開発し高収益をあげた元証券マンの活動はよく知られるところです。特許を分析すれば、その企業が何について研究し、数年後どのような方向に進もうとしているかが、見えてくるといいます。
特許はもっているだけでは、何も生み出しません。大切なのは特許を横展開させていくこと、これまで使われていない分野に応用して、世の中に出すことであり、それによって新たな価値と利益を生み出します。

「ラボノート」も同じ考え方と思われます。これは、研究過程を精緻に記録するためのノートのことで、日時を明記し、研究の進捗を証明するサインを記入して もらうことで、発明がいつ行われたかを明確にするものです。米国のように、先発明主義の国では、発明の日時を証明できるかどうかが、特許取得に関する紛争で重要視されるためです。国際特許が一般化されている今日では、先願主義を取っている日本の研究者にとっても、「ラボノート」の重要性が高まってきています。さらに、知財に関する社内文書としても有効でしょう。

経済産業省では、2004年に「知的財産情報開示指針」を作成し、知的財産の戦略的活用を推進することを高らかに宣言しました。知的財産報告書を年次報告書と共に定期的・継続的に発行することや、インターネットを通じてこの報告書を広く一般に利用しやすく提供すること、報告書を基礎として知的財産に焦点を当てた投資家向けの説明会を経営者が定期的に開催することが期待され、一部では実施に移されています。

 
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