アーカイブの活用

 

粗朶沈床

今回は「粗朶沈床(そだちんしょう)」という工法を紹介します。

里山などの雑木林から、間伐や剪定で切り出される枝のことを粗朶(そだ)と呼びます。粗朶沈床とは、栗、楢、樫、クヌギ等の堅固で靭性に富んだ樹木の粗朶 を束ねた十メートル四方の箱状の構造物で、粗朶の間に石を詰め河床に沈め川の流れをコントロールするものです。この工法は、明治の初期にオランダ人技師により伝えられました。柔軟性に富んでいるため、河床の変化に馴染みやすく、淀川・木曽川・利根川・信濃川・九頭竜川などの河川工事に採用されました。

昭和40年代、コンクリートの普及に伴い、粗朶は、使われなくなっていましたが、信濃川と阿賀野川という代表的な2つの緩流が粗朶を用いた治水法に適していたため、全国でも新潟県の職人だけが技法を継承して来ました。粗朶沈床は砂浜海岸の浸食防止に施工されている離岸堤の基礎や、防波堤の基礎にも採用され ています。また適度に隙間があり、流速の変化も大きいため、小魚類や底生動物などの生息空間をつくりだす効果があります。生態系の回復にも役立ち、水に親 しみ触れあえる川、また自然にやさしい川、美しい自然景観をつくるには格好です。

1997年の河川法改正で粗朶の価値は、さらに見直されました。 新しい河川法には、それまで「治水・利水」とされてきた整備目的に「環境整備・保全」が加わり、粗朶沈床工法復活に拍車をかけました。川に沈められた粗朶 は魚の産卵場所や餌場を提供し、雑木林は粗朶を切り出されるおかげで常に若々しく保たれる。いわば、里山と川の共生、win-winの関係が築かれている のです。新潟新発田市の建設会社は、先祖代々受け継いできたこの工法を武器に年商を一気に4倍に上げました。技術資料の有効活用、格好の事例といえましょう。

社史・アーカイブ総合研究所

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