設立趣旨 | 社史・アーカイブ総合研究所

設立趣旨

 

設立趣旨

2019年10月、いま我が国の社史とアーカイブは曲がり角にある。
社史は明治の中期以来、我が国で連綿と出版されてきたものである。その歴史はゆうに100年を超えており、当初は重厚長大企業と金融機関によって発行され、いまでは従業員30人の企業でも発行するようになり、民間企業の歴史を記す活動としては、世界でも例を見ないほどの集積がある。
一方、日本のビジネス・アーカイブは、資料と情報の集積が偏在していると言える。日本には有数の長寿企業が存在する。設立から200年を超える企業の数は世界で約6,000社といわれ、その約半数は日本に在籍する。中には、社会的な意義を考えて、アーカイブを整備し、公開している企業もあるが、株式公開会社やビジネスモデル一世代と言われる30年を超える企業で、自社のビジネス・アーカイブを備えているのはわずかである。
ましてや社史製作とアーカイブ構築を関連付けて、収集、整理、活用している組織というと、極めて希である。

日本の国立公文書館ですら1971年の設立なので、前回の大阪万博の1年後のことであった。1810年設立の米国国立公文書館とは比べものにならないギャップがある。
このような各々に違った生まれ育ちと、環境の違う社史とアーカイブだが、いずれもいま、大きな曲がり角にあると言える。それはデジタル化とAIの台頭により変化を迫られているからだ。
デジタル化で最も大きな影響をもつのは検索エンジンの存在だ。全コンテンツを対象にして、必要なキーワードを引っ張り出せるなら、個別にコンテンツを整理しておく必要は無い。データの集積を作ればよいだけだ。また、近年、AIが社会に迫る変化が顕在化してきている。このような情報技術はいずれ組織の歴史作り、アーカイブ構築にも応用される時代が来るだろう、そうすると、社史は集積されたビジネス・アーカイブの一部の資料と情報を原稿にして出版するわけだから、広義のアーカイブに社史は包含されると考えられ、いずれなくなる、という運命にいたらないだろうか。

社史にできること、アーカイブにできること、そして共にできないことがある。小生が筆頭にあげるのは「感動」である。社史は読者をして、ストーリーによって感動させなければならない。読み手の心を動かし、それに続く行動や思考となって、会社の業績と求心力の向上に寄与するために、多くの社史は製作されているからだ。
しかし、アーカイブに感動は不要である。その集積された量で、あるいは一つひとつの資料や情報が読み手を感動させることがあるとしても、アーカイブそのものが読み手を感動させることが目的になってはならない。アーカイブは人の作為を極力介在させない、オリジナルな状態で保存されるべきである。

当研究所は、他国に例を見ないほどに蓄積された日本の社史と、その社会的役割が十分に認識されていないビジネス・アーカイブが、ともに成長してゆくことを願って設立するものである。
第一歩として、我が社の社内や現在の関係先につながる情報や資料を調査・研究して発表してゆく。そして、いずれは社内外、国内外の社史、ビジネス・アーカイブの関係者が集い、語り合い、調査・分析の成果を交換し合う研究所へと成長してゆくことを、願っている。

多くの研究者、関係者のご理解とご協力を切に期待している。

社史・アーカイブ総合研究所
設立起草者 浅田厚志
(当研究所・主任研究員)
(青山学院大学総合研究所・特別研究員)
(株)出版文化社 代表取締役


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